
財産承継支援メニュー
ヒアリングにより現状を把握させていただき、最適な進め方をご提案させて頂いたうえで支援いたします。
相続税試算
- 相続される財産債務を把握し、相続税額を試算いたします。
夫婦どちらかにほとんど財産が無い場合を除き、夫婦同時に試算されることをお勧めいたします。
財産承継の第一歩として、相続税額の試算は非常に重要です。 自社株の株価推移シミュレーション
- 自社株の直近の相続税評価額を算定するとともに、今後の推移をシミュレーションいたします。
遺言書作成支援
- 公正証書遺言の作成を支援いたします。
原則として相続税の試算を行い、財産債務を把握できている方が対象となります。 節税策のご提案
- 相続税の試算、あるいは自社株のシミュレーションの結果を踏まえて、節税策のご提案をいたします。
資本政策立案・実行支援
- 資本政策とは、企業が適正な株主構成や資金調達を実現するための増減資や株式移動等の方針や行動案のことです。現状の株主構成や定款の内容からリスク事項を洗い出し、企業の安定経営に向けて必要な資本政策を立案し、実行を支援いたします。
財産承継支援の進め方
基本的には下記のステップにより支援させていただきます。
また、ご要望により株価評価及び自社株に係る節税提案のみご依頼いただくなど、部分的に支援させていただくケースもございます。

資産の組み換えによる評価減(小規模宅地制度の有効利用/生命保険の活用)
【対策前の状況】
A社長はB工業の創業者です。これまで自社の発展に専心してきたため、個人の財産は自社株と自宅土地建物のほかは預金がほとんどという状況です。家族構成は奥様と子ども3人。大学生の長男が将来会社を継ぎたいと言ったのをきっかけに事業承継を真剣に考え始め、私どもにご相談いただきました。
相続税額の試算をしたところ、業績好調のB工業株の評価額が予想外に高く、相続税の適用税率は最高30%に及ぶことが分かりました。
【対策】
【1】B工業の工場敷地のうち400㎡をA社長が時価5,000万円で買取り、B社に貸すことで、「特定同族会社事業用宅地」として小規模宅地の80%の評価減を受けられるようにしました。
【2】A社長はB工業を契約者とする長期平準定期保険に加入していたものの、個人では生命保険に加入していなかったため、A社長に一時払い終身保険2,000万円に加入していただき、生命保険金の非課税枠を使えるようにしました。
【効果】
● 小規模宅地の特例 :4,000万円の評価減
● 生命保険金非課税 :2,000万円の評価減
● 相続税額の節税効果:(4,000万円+2,000万円)×30%=1,800万円
【解説】
小規模宅地の制度は平成25年の税制改正で使い勝手が良くなり、事業用の宅地と居住用の宅地の併用が認められるようになりました。毎年の税制改正により相続税対策として最適な資産構成は年々変わっていきますので、過去に一通りの相続税対策をされている方も、定期的に見直しをされることをお勧めします。
分散した株式への対応
【対策前の状況】
C産業の現経営者であるD社長から息子さんへの経営承継のご相談をいただきました。その現状分析の過程で、C産業の株式に譲渡制限が付いておらず、株主が30人ほどに分散していることが判明しました。D社長の親族で議決権の70%ほどを保持しているうえ、現在のところ株主との関係は良好で、特に問題は生じていないとのことでしたが、今後のリスクを勘案して対策することになりました。
【対策】
次の2つの対策を実行しました。
【1】定款変更によりすべての株式につき譲渡制限を付してこれ以上分散しないようにするとともに相続人等への売り渡し請求をできるようにし、今後現株主が亡くなった場合には相続人からC産業が自社株を買い取っていくことにしました。
【2】現株主のうち希望者から株式をC産業が買い取る、いわゆる金庫株(※)を実施しました。
※金庫株:会社が自らの発行株式を株主から買い取ることを「金庫株」といいます。実行には株主総会での決議が必要です。
【効果】
親族以外の株主の半分ほどが金庫株に応じてくれたため、株主は20人ほどに減り、D社長親族の議決権シェアは90%にまで高まりました。また、今後株主に相続が起こった際には順次買い取っていくことができるようになったため、これ以上の分散を防ぐ準備ができました。
【解説】
今回は強力な黄金株(※)等の種類株式の導入は見送り、今後の分散を防ぐ策を講じるとともに、D社長の自己資金を使わずに株式を買い集めるため金庫株を実施しました。
社歴の長い会社では株式が分散していることが多く、定款も現状に合っていないことが多々ありますので、事業承継の過程で株主構成や定款の見直しをすることをお勧めします。また、株主構成の見直しに際しては、株主さんにご協力をお願いする必要が生じる場面がありますが、後継者は古くからの株主さんとは面識がなく、協力をお願いし辛いというケースがよくあります。現経営者が直接株主さんと面識があり、話ができるうちに株主構成の見直し等に着手するのが望ましいです。
※黄金株:株主総会での一定の決議事項について拒否権を有する株式のこと。
組織再編により株価が下がった例
【対策前の状況】
E社長は製造業を営むF工業と不動産業を営むG興産を有しています。F工業は黒字を維持しており、ベトナムに進出した子会社も収益化して今後も好業績が見込めます。一方で地元の賃貸物件を多く持っているG興産は物件が古くなってきており、収益性が低下、近年の収支はトントンといった状況です。また、E社長が保有する他の不動産有価証券等を勘案すると、相続税率は40%に達する見込みです。
E社長がある金融機関からF工業の株式をG興産に売却することで相続税対策をしてはどうかという提案を受けたことから、セカンドオピニオンを求めてご相談いただきました。
【対策】
株価のシミュレーションを行った結果、F工業とG興産を合併したほうが相続税の圧縮効果が高く、また経営の合理化にも資すると判断し、二社の合併を実施しました。
【効果】
F工業(会社規模中の大。株価総額3億円)とG興産(会社規模中の小/土地保有特定会社。株価総額2億円)の合併により、新会社H工業(会社規模大。株価総額3億円)が誕生。従前の2社の株価の合計より新会社H工業の株価は大幅に下がりました。
相続税額の節税効果:(3億円+2億円-3億円)×40%=8,000万円
【解説】
組織再編により株価評価の際に適用される評価方式が変わり、大幅に株価が増減することはよくあります。今回のケースでは業績好調なF工業の利益が薄まった、会社規模が大きくなり有利な評価方式が使えるようになった、G興産が土地保有特定会社として純資産株価で評価されていたのが、新会社H工業では土地保有特定会社から外れ、純資産株価を勘案する必要が無くなったetc...により、評価額が下がる結果となりました。
グループの再編はうまく使えば大きく株式の評価額を圧縮できますが、当然、事業の実態に合った、経営の改善に資する再編でなければなりません。今回は2社を統合すると同時にG興産の事務所を廃して新会社H工業内部に不動産事業部を設ける等、経営効率アップにより全体としての収益性向上も同時に実現できました。